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人生にイエスと言う

 治療院には肩こりや腰痛を訴える人が来院されますが、しばらく話しているとその裏には家庭や職場のストレスで苦しんでいたり、過去の悲しみやトラウマを抱えていることが多々あります。苦しみや悲しみにとらえられている自分からふっと外に出て、客観的にそんな自分を眺めることができたらいいのになあ、と思います。今は辛いけど、後になってこの経験がきれいな心の模様になって出てくるんだなと外から自分を見て気づくことができれば、そこから新しい展開が始まるはずですから。心理学者のV.E.フランクルさんは自ら体験したアウシュヴィッツ収容所生活でのことを「夜と霧」「それでも人生にイエスと言う」(春秋社)に書いています。数少ない収容所からの生還者であるフランクルさんが観察したところによると、まず生きる希望を失った者から先に死んでいったといいます。頑強な肉体をもった者でも絶望することによっていとも簡単に死んでいったそうです。肉体が弱々しくても、この悲惨な状況におかれている自分を自由に客観的に眺めるユーモアがある人が最後まで生き残ったと書いています。フランクルさんは悲惨な状況に呑み込まれてしまわないよう仲間を集めて楽しい話をしたり、今おかれている状況を笑いにかえたりしていたそうです。それでもユーモアを持続できず、悲惨さに呑み込まれたものは死んでいったのです。フランクルさんはアウシュヴィッツの悲惨な状況をも肯定し、イエスと言いつづけました。心の自由さ、ユーモアって生きるために本当に大切なことなんですね。

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